NEWS
Vol.79「わか竹の伸びゆくごとく」
【 コラム 】 2024.04.03
学びの応援コラム
楜 澤 晴 樹
令和6年4月3日
NO.79 「わか竹の伸びゆくごとく」 |
4月、学校は新入生を迎え、いよいよ新年度スタートだ。
そのスタートに当たり、子どもたちへの熱い応援歌をお届けしたい。それは、歌人若山牧水の短歌である。
「わか竹の伸びゆくごとく子どもらよ 眞すぐにのばせ身をたましひを」
冒頭の五(初句)、七(2句)を本号のタイトルにしてみた。下の写真は、何と牧水直筆の書で、これは佐久市立岸野小学校の校長室に掲げられている。
この三十一文字に込められた子どもたちの成長に寄せる願いは、明解で力強く、昭和38年には同校校歌となって、今日も元気いっぱいに学ぶ子どもたちを、導き、また支えている。少しその経緯を紹介しよう。
〇 岸野小学校の校歌に
牧水は、大正14年、佐久の地を訪れた折、岸野小学校(佐久市野沢)に招かれて講演を行った。そして講演後、岸野の子どもたちのためにとこの短歌を揮毫されたのだ。牧水の「やよ少年たちよ」九首のうちの冒頭の一首である。同校では、その後これに曲をつけて校歌とし、大事に歌い継いできている。
牧水の短歌は校歌として愛され、そこに込められた牧水の想いは岸野小の教育の指針「わか竹教育」として、今も同校グランドデザインに位置付けられているのである。
〇 県立武道館のエントランスに
本県に県立武道館が開館したのは、令和2年3月のこと。建設地には佐久市が選定された。
さて、その武道館に掲げる扁額を佐久市が寄贈することになり、その字句の選定は教育委員会マターとして特別委員会が設けられた。委員会では4つの字句選定を行ったが、エントランスに設置される大型扁額には、上述してきた牧水の短歌(岸野小校歌)を選んだ。
武道を通して心身を錬磨する子どもたちへの大応援歌として最適ではなかろうかという教育長の提案に委員全員が賛同してくださった結果である。なお、揮毫は「現代書道の父」と呼ばれる比田井天来(佐久市望月出身)の孫弟子に当たり、本市が行っている「比田井天来・小琴顕彰 佐久全国臨書展」でもご指導をいただいている書家石飛博光氏にお願いした。
下に写真を添えるが、是非現地を訪れてご鑑賞いただければと思う。
佐久市に誕生した県立武道館には、この作品を含め4点の扁額が掲げられている。その掲額は、佐久市民の誇りを掲げることでもあったことを添えておきたい。