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Vol.55「Risky 7」リスキー セブン

【 コラム 】 2023.05.03

学びの応援コラム

楜 澤  晴 樹

令和5年 5月 3日

 

NO.55 「Risky 7」 (リスキー セブン)

 

新年度が始まって早1ケ月、ランドセルを背負った「ピッカピカの1年生」の登校の足取りも入学当初より軽やかになってきたような気がする。

ところで、登下校時に限らず子どもの歩行中の交通事故について、その発生割合を年齢別にみたとき、最も多く発生している年齢は何歳だと推測されるだろうか。

 

これは、私が教育長時代に佐久市議会の一般質問で出遭った問題で、そこから考えさせられることが多くあった。本号では、交通事故防止を本題としながら、子どもにどんな力をつける必要があるか考えてみたい。

 

〇 「緊急メッセージ」発出

冒頭の問いに対する実態は、警察の交通安全情報等で多く報じられているところである。写真の「Risky 7」(楜澤が一部分撮影)は、佐久市教育委員会が同市子育て支援課の協力も得ながら、小学校入学前後の交通安全指導に係る「緊急メッセージ」として発出しているもので、長野県警調(平成21~30年)のデータをもとに作成したものである。

「Risky 7」とは私が命名したが、写真のグラフを見れば一目瞭然で「危ない7歳」ということになる。このメッセージ(全2ページ)は他県他市町村の多くの教育委員会からも注目され、求めに応じて今日でもインターネットからダウンロードして活用していただけるようになっている。

 

なお、言うまでもなくこの、7歳が特に危ないという状況は、本県に限らず全国的な傾向であり、最近の調査でも顕著である。因みに警視庁交通部が都内歩行者の年齢別死傷者数(H30~R4)を発表しているが、そこでも、「歩行者の死傷者数は7歳最多!!」と強調して警鐘を鳴らしている。

 

〇 なぜ7歳か?

一般に小学校入学前(年齢差もあるが)は、保護者や子どもに関わる大人が中心となって子どもの安全を確保する。当然のことながら、自分で安全確認する力が十分備わっていない段階は、「危険からの隔離」を主な手段として事故を防止することになる。

 

横断歩道であっても、子どもが安全に横断するには大抵次の①~⑤のような段階を踏むことになろうかと思う。

 

 

①大人が子どもを抱っこして横断。

②大人が安全確認し、子どもの手を引いて横断。

③子どもにも一緒に安全確認させ、(子どもの手を引いて)横断。

④大人が見守りながらも、子どもに安全確認させ、横断のGOサインを出させて横断。

⑤子どもだけで安全確認し、横断。

 

 

7歳(小学1年・2年)では、⑤の横断が増えてくるかと思うが、特筆したいのは、④の段階を十分踏んでいないお子さんが少なくないことである。8歳を超える頃になると、安全確認の精度や状況判断の力も向上してくるので歩行者事故は減少するが、そうなる前で、④のような学習が十分ではないお子さんが子どもだけで歩行する状況下に置かれた場合には、「危ない7歳」を心配せざるを得ない。

小学校入学までに、また小学校低学年において、「危険からの隔離」ではなく、「自分で安全確認する力を育む」ことに更なる力を入れる必要があろう。

 

〇 「自分でできることを増やそう!」

以前にも紹介したが、私は教職の最後に小学校長をさせていただいた。新入生を迎え入れる入学式には、ピッカピカの1年生に向かって、決まって3つのお願いをしてきた。その筆頭が「自分でできることを増やそう」であった。絵の得意な先生に、一人で横断歩道を渡る時のデッカイ絵を描いてもらい、一生懸命語りかけた。

 

「今日は小学校入学というとても大事な日です。その大事な日に、皆さんに3つのお願いをしたいと思います。

1つ目のお願いです。それは、小学生になったので、自分でできることを増やしてほしいということです。皆さんは道路を渡るとき、少し前までは、お父さんやお母さんに車が来ないことを確かめてもらって渡りました。その次には「右を見て、左を見て」、と号令をかけてもらって一緒に確かめましたね。そして今は、言われなくても自分で確かめて渡れるようになってきていると思います。このように自分でできることを少しずつ増やしていく小学生になってくださいね。」