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Vol.54「ピッカピカの1年生」

【 コラム 】 2023.04.20

学びの応援コラム

楜 澤  晴 樹

令和5年 4月 19日

 

NO.54 「ピッカピカの1年生」

 

今春、内孫が小学校に入学した。約2㎞の徒歩通学が始まったが、登下校の無事を祈りながら、新たな小学校生活が楽しく充実したものであってほしいと願う毎日である。

両親が教員であることもあって、幼稚園を卒園した年度末と入学式前後の4月当初は、3歳年下の妹と一緒に我が家で預かることが多くあった。

 

さて、生命満開の春、幼稚園児が小学生になるという節目を迎えた孫の言動に目を見張ることが度々あった。ほんの少しだけお裾分けさせていただこうと思う。

 

〇 「遊びみたい!」

それは4月6日、入学式を終えて皆が我が家に寄って一息ついていた時のことであった。さっそくもらってきた教科書をランドセルから出してパラパラめくって見入っている娘に父親が尋ねた。

「どう、教科書は難しそうかな?」

この時、算数の教科書を見ていた孫はこう応答。

「数を答えるんだけど、何か遊びみたい。」

 

父親も、そばにいた私も思わずニッコリ。小学校での勉強が始まることにあまり不安を抱かなければいいなと思っていた大人たちの心配を吹き飛ばしてくれる一言であった。そして、こういう遊び心も大事にして授業づくりをしてほしいものだとも思った。

 

〇 「花びらが入学おめでとうってお祝いしてくれている!」

入学式を終え、翌日から集団登校が始まった。朝7時05分、家を出発して最初の待ち合わせ場所に向かう様子が動画で母親から送られてきた。初めての一人歩きの登校シーンにちょっぴり涙腺が緩んだ。

ところで、最初の2日間はお昼前の下校で、先生が適当なところまで付き添ってきてくれる。集団下校ではないからだ。同方面に帰る、数少ない1年生も、初日から学校の隣にある児童館にお世話になったそうで、孫は先生を独り占めで、自宅ではなく我が家に帰ってきた。幼稚園の年少組に入園した妹も、この日は私が送迎しており、我が家で一緒に出迎えをした。

 

ちょうどお昼だ。家内の提案で、佐久平パーキングの桜を見ながらお弁当を食べようということになった。同パーキングの上にある「見晴らしの湯」の駐車場の端に絶好の場所があった。満開の桜の脇に陣取っておにぎりをほおばった。その時である。強めの風の仕業で大量の桜吹雪が舞った。

孫たち2人は大はしゃぎだ。キャーキャー歓喜の声を上げながらおにぎりを置いて立ち上がった。2人とも両腕を水平に広げながら花びらを浴び、その足は踊っていた。桜吹雪を全身に浴びながら小1の孫からこんな言葉が飛び出した。

「花びらが入学おめでとうってお祝いしてくれている!」

 

新しい小学校生活が無事、そして希望に満ちてスタートしたことを窺わせてくれる素敵なメッセージであった。

 

〇 「ただ手を上げるだけじゃダメなんだよ」

土日を挟んで迎えた月曜日。初日と同様、朝は集団登校、帰りは昼前に先生付き添いで我が家に帰着。この日も年少の妹、家内、そして私が出迎えた。

さて昼食後の姉妹の会話である。学校では年度当初の交通安全教室が行われたとのこと。

 

姉:「横断歩道ではどうするか知ってるよね。」

妹:「知ってる。手を上げるんでしょ。」

 

姉:「ただ手を上げるだけじゃダメなんだよ。どうすればいいかわかる?」

妹:「うーん・・・。」

 

姉:「あのね、手を上げて右を見て左を見て。そこに車が来るでしょ。そしたら、運転手さんの顔を見るんだよ。そして運転手さんがこっちを見て止まってくれたら渡ってありがとうをするの。」

妹:「ふうん、わかった。」

 

右とか左とかもまだあいまいな妹であることをふまえて、右、左の言葉を使いながらも身振り手振りを交えながら一生懸命説明した。交通安全教室が自分のものになっている。本コラムNO.4~6でPISA型読解力に関わる話をしたが、INPUTした内容をもとにして自分の考えを組み立てた見事な OUTPUTであった。

後日また3歳の孫を預かると、期せずしてNHKの教育テレビでこの横断歩道の渡り方が放映された。手を上げて渡り終えるシーンになった。孫はすかさず「ここでありがとうって言うんだよね」と隣にいた家内に確認。お姉ちゃんの指導が生きていた。

 

ピッカピカの1年生。学校も保護者も、私たち皆がその輝きを大事にして、それぞれの学びを支え育んでいきたいものである。