NEWS

Vol.44「夢をかなえるには」~油井亀美也氏の歩みに学ぶ~

【 コラム 】 2023.02.01

学びの応援コラム

楜 澤  晴 樹

令和5年 2月 1日

 

NO.44 「夢をかなえるには」~油井亀美也氏の歩みに学ぶ~

 

前号で、「まとめの3学期」に因んで、「まとめ」で大事にしたいことについて述べた。そこでは、繰り返しになるが、最終的にこの1年間で何がどこまで伸びてきたか(成果)、そして課題は何かを明確にし、その課題を解決する具体策を講じて次年度に向かいたいものだとした。希望・展望がもてるまとめが学ぶ意欲につながる。

 

 

ところで本号では、私のこの話を補強してくれるエピソードとして、宇宙飛行士の油井亀美也さん関連の話題をお届けしようと思う。

 

 

 

  • ソユーズ打ち上げ関連特別企画

2015(平成27)年7月23日、地元佐久地区(南佐久郡川上村)出身の宇宙飛行士油井亀美也さんが搭乗したソユーズが打ち上げられた。もちろん打ち上げ成功で、その後のISS(国際宇宙ステーション)での活躍を含め、世界的な偉業が成し遂げられたことは広く皆さんの知るところである。

 

ところで、この偉業に寄せて佐久市子ども未来館では3回のスペシャルイベントが実施された。ソユーズ打ち上げ時のパブリックビューイング、ISS滞在中の油井さんとのアマチュア無線交信、そして同宇宙船の地球への帰還時のパブリックビューイングである。私はこれらすべてに参加させていただき、貴重な一瞬一瞬を、息を呑みながら子どもたちをはじめ大勢の市民の皆様と共有させていただいた。

 

 

〇 油井さんの歩みを自分に引き寄せたある少年の学び

2回目のイベントのアマチュア無線による交信でのこと。市内の小学生10名ほどがISSの油井さんと交信した。油井さんからは、宇宙船内の生活の様子や、無重力状態における様々な物理現象等について数々の興味深い話をいただいた。

 

 

そんな中、子どもたちからの質問を受け付けた場面である。あるお子さんが、「子どもの頃の体験で宇宙飛行士としての活躍に役立っていることはありますか。」と尋ねた。これに対して油井さんは、「川上のレタス栽培で、家の畑仕事を手伝って汗を流したことは今の自分に通じています。」と回答。

 

 

さて、無線技士のお力も得て交信は無事終了した。引き続き未来館では、油井さんと交信した子どもたちの感想を求めるインタビューが行われた。先に紹介したお子さんも、感想、いや決意のほどを語ってくれた。その学びに注目したい。

「自分もこれからは家の手伝いを進んでやるようにしたい。」というもの。

 

 

この少年は、油井さんのお話から家の手伝いで汗することに新たな意義を見出した。自分の現在のありようについて「進んで」を添えて自己課題を更新したのである。今の自分を見つめ直し、これからの具体的な行動を決意した少年の学び、見事!。

 

 

 

〇 「自分」の見つめ直し

 

油井さんはISSで活躍されながら、ツイッターで地球に貴重なメッセージを届けてくださった。その中には、ふるさとを離れてふるさとを見つめ直しふるさとを想う心が随所に表されていた。「ふるさと」というのは、地球という天体であったり、日本であったり、生まれ故郷の川上村であったり、また、時には「家族」と置き換えられるのかもしれない。大きい意味で「自分」ととらえることもできそうだ。

 

 

以下に2つのメッセージをピックアップしてみた。

 

 

  • 土曜日に撮影した富士山。紹介を遅らせたのには、少し個人的な理由が。

実は、20年前の今日、私達は入籍して夫婦になったのです。富士山より高い日本の最高地点から贈る妻へのプレゼント。今日は「いい夫婦」の日ですから、皆さんもお幸せに。(2015.11.22)

 

 

 

 

  • 「地球って、水の惑星だなあ」と想う瞬間です。ISSでは水が貴重。可能な限りリサイクルし、飲み水にしたり、酸素を作ったりしています。「このシステムが一般的になれば、地球さんも少し楽になるかなあ。」尿や汗のリサイクル水は抵抗ありますか? (2015.12.3)

 

 

 

  • 夢をかなえるには

 

最後にもう1つ、油井さんのメッセージを添えて結びとするが、本号冒頭で述べたように、前号の私の話を補強するエピソードの決定打になろうかと思う。

 

  • 「夢をかなえる第一歩は、夢を持つこと!次のステップは現実を見据えること。そして最後のステップは、現実と夢のギャップを埋めるために頑張ること!ですよね。」

 

 

<蛇足>

「現実を見据えること」→ 何がよくて(成果)何がダメか(課題)を見抜くこと

「現実と夢のギャップを埋めるために頑張ること」→ 課題解決の策をもってこれからに向かい挑むこと