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Vol.43「まとめの時に」

【 コラム 】 2023.01.25

学びの応援コラム

楜 澤  晴 樹

令和5年 1月 25日

 

NO.43 「まとめの時に」

 

小中学生は3学期が始まって2週間ほど経つ。2学期制の学校は、後期も残り少なくなった。

 

ところで、学校現場では3つの学期それぞれの特色について次のように表現することがよくある。「立ち上げの1学期」、「充実の2学期」、そして「まとめの3学期」だ。長さでは、最も長いのが2学期、最も短いのが3学期となる。本号では、この最も短い「まとめの3学期」の「まとめ」で大事にしたいことについて一考してみたい。

 

〇 写経挑戦1作目完成

 

この度の私の写経の挑戦を、「まとめの時に」大事にしたいことを述べていく際のひとつの具体事例として添えたいと思う。前号では失敗談であったが、本号では、その後再挑戦して完成させた話になる。

 

 

念のため復習しておくと、私の写経初挑戦は失敗に終わった。経典の文字を間違えてしまったのである。初にお目にかかる文字を調べながらでもあったのでそこまで5時間近くかかった初挑戦が、後もう少しで完成というところで字を間違えてしまった。前号ではその、「後もう少し」に落とし穴が潜んでいるということを、「高名の木登り」(徒然草)の戒めに重ねながら述べた。

 

 

さて、その後の再挑戦である。初回の反省を生かし、特に「最後の一字まで気を抜かず変わらぬ丁寧さで」という課題意識を貫徹し、完成させることができた。写真は完成した写経挑戦1作目である。亡き父と母の為にとした。

 

〇 「まとめ」で大事にしたいこと

 

学習においては、できなかったことができるようになったり、わからなかったことがわかるようになったりする。その、できる喜びやわかる喜びがまた、学ぶ意欲を増大させることにつながる。

 

ただし、大抵の場合は喜んで一件落着ということにはならず、そこに新たな課題が生まれるものである。つまり、一定期間、または一区切りの学習で、何がどの程度できるようになったか、わかるようになったかを振り返る(評価する)ことが、同時に、できなかった部分やわかり得なかったことを明らかにすることにもなり、結果、次の学びで向かうところが見えてくるのである。それは新たな学びの動機付けにもなる。

 

 

前号で紹介した写経初挑戦とその失敗作を振り返ってみよう。

 

「写経の字体の特徴はわかってきた。横画の鋭さは意識して表現できている。初めて書く文字がいくつもあるが、その字格好はとれるようになった。」・・・これらは何がどの程度できるようになってきたかの評価になる。そして、「字間をとりすぎている箇所と、逆に詰まっている箇所がある。200字を超えるあたりからやや雑な筆遣いになっている。文字を間違えたのは集中力が弱まっている証拠。」・・・これらが振り返りで得た新たな課題だ。新たな課題が明確になることで次の挑戦が必然になった。「よし、こことここを気を付けて今度こそ写経を完成させよう。」という意欲が高まる。

 

今回の完成作品にももちろん課題はある。少し時を置いて改めて挑戦し、納得がいったら額装にしようと思っている。

 

 

〇 希望・展望のもてる「まとめ」に

 

学校から出される「通知票」(いろいろな表現がある)は、お子さんの学びの成果と課題を指導者が整理し伝えてくれる。各自が自身の学びを振り返り、今後の歩みを考えるための重要参考資料だ。2学期末にいただいた通知票は今活きているだろうか自問されたい。

 

 

「まとめの3学期」・・・最終的にはこの1年間で何がどこまで伸びてきたか(成果)、そして課題は何かを明確にし、課題解決の具体策を講じて次年度に向かう。「よし、新年度はこうしよう。ここに力を入れよう。」という具体策である。それが「まとめ」のゴールなのである。「明日」への希望・展望がもてることが重要である。

 

 

少なくとも、「反省だけならサルでもできる」という反省にとどまる振り返りは、「まとめ」ではない。