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Vol.40「書初めにて」

【 コラム 】 2023.01.04

学びの応援コラム

楜 澤  晴 樹

令和5年 1月 4日

 

NO.40 「書初めにて」

皆様、明けましておめでとうございます。下の写真は今年の自作年賀状。パソコンを使うようになってから、手作り原稿を画像データにしてプリントアウトしている。

 

 

 

ところで、正月二日は「事始め」の日。私は小学3年生以来、毎年書初めに挑戦している。仕事の関係で2日にできないこともあったが、今年で61回続いたことになる。このところ、長野にいる孫が書初めの課題を持ってきて、半日はその仕上げに付き合っている。今年は、小5が「正月の朝」、小6が「強い信念」であった。

 

新年のスタートに当たり、今年の書初めで2人の孫から学んだことを発信しようと思う。

 

 

〇 「ここをもう少しこうすればよかった」

小5の孫は、私が助言したことが自分のものになってきているなと感じた。3年間の学校での習字の時間の成果が窺えた。筆を運びながら、「アッ」と声を上げる。例えば、右上がりに書くように言われた横画を水平に引いてしまった瞬間のことだ。昨年までは、それを私が指摘しないと気付けないことが多かった。

 

出来上がった作品を自己評価できるようになることは大きな前進である。文字というものは、結構自分独自の癖があるもので、お手本を見て書いていてもその癖から脱却できないことがよくある。つまり自己課題を見出すことは簡単な仕業ではない。

 

「上手く書けた、書けなかった。」にとどまらず、「ここをもう少し長くすればよかった。」とか、「この間隔が狭すぎた。」などと具体的な改善課題を見出せるようになってきたことを大いに評価しながら、指導助言のあり方も更新させていかねばならない。

 

 

〇 「今度は自分だけでやってみる」

 

今年は、6年生の孫から私がハッとさせられた。注意するところを私がその都度口にしながら5枚ほど練習し、新たな紙に向かったその時であった。

「じいちゃん、今度は自分だけでやってみる。言われたことは覚えたから。」

 

 

親心で発する言動も、注意しないと成長の足を引っ張りかねないことを改めて教えられた。長いこと教職にあって、子どもの主体性を大事にしてきたつもりであったが、現に目の前の孫の主体的な学びを妨害していた。

 

「よし、やってごらん。」孫の運筆をじっと見守った。既に自己課題をもって筆を走らせている孫の姿は輝いていた。なかなかの書が出来上がったが、無論まだ十分に課題解決できたわけではない。ただだまっているのも指導にはならないので、「次はこうしたい」という点を確認し合って書初めを終えた。

 

 

教職駆け出しのころ、授業を見ていただいた先輩の先生から「教師の出」についてご指導いただいたことを思い出す。「あの場面では、先生ではなく生徒の言葉で説明させたいですね。」といった指摘に、ハッとさせられたものだ。発問してから、すぐに応答がないと不安になり、ついあれこれと説明し直して生徒の思考活動をじゃましてしまうこともあった。

何もしないのは放任だが、口や手を出し過ぎて、子どもの主体的な育ちを邪魔することのないようにしたいものだ。