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Vol.100「振り返れば未来」~3~ (最終号

【 コラム 】 2025.01.22

学びの応援コラム

楜 澤  晴 樹

令和7年1月22日

 

NO.100 「振り返れば未来」~3~ (最終号)

 

東京大学名誉教授であられた故木村尚三郎先生の名言「振り返れば未来」をテーマに、想うところを綴って3回目となるが、既にお伝えしたように、本号をもって「学びの応援コラム」に終止符を打たせていただく。

 

木村先生が説かれたところを咀嚼し直しながら、変化の激しい時の流れの中で、懐古に浸る振り返りでなく、未来創り、人づくりにつながる振り返りを大事にしたい。そこに、時代がどんなに変化しようとも失ってはならない、人間の人間らしいありようがあるからである。

そういえば、お茶の水女子大学名誉教授であられる藤原正彦先生も、著書『国家の品格』の中で、「振り返れば未来」に通じるところを説いておられる。私たち日本人がこれまで大事にしてきたもの・生き方のすばらしさを一般化しながら、今日それを見失って暴走してしまうような傾向があるとして、警鐘を鳴らされているのだ。同著書には大変共鳴することが多く、何度か読み返しているが、その都度日本、そして日本人のすばらしさを再認識させられている。

 

さて、最終号は、藤原先生の憂うるところにも想いを重ねながら、人格の完成を目指して営まれる教育においてこれからも大事にしたいこと、失ってはならない歩みを「5つの提言」にまとめてみようと思う。5つは、今日の子どもたちの人格形成の現状に抱く憂いや危惧から出発して、教育の拠りどころとしてはずせない、古くて、それ故に新しいとも言えそうな提言だと思っている。これまで折々発信してきた本コラムがベースとなっているが、それぞれの提言に直結したコラムについては号数とタイトルを添えた。学校教育の現場や教育行政にも関わってきた自分の体験を活かしながら整理したつもりではある。

 

 変化の激しい時代だからこそ

→ 教育の拠りどころとしてはずせない → 古くて新しい5つの提言

 

【提言1】 「便利さ、物の豊かさ、効率」は追い求めすぎるな

No.19「成果を急ぐなという教え」

No.58「役に立つか立たないかだけでなく」

No.64「便利さの中に潜む危うさ」

No.95「『明日へ』への礼状」

 

 

【提言2】 「好きなこと・もの」に「必要なこと・もの」を加えよ

No.31「好きな食べ物・必要な食べ物」

No.32「好きな勉強・必要な勉強」~1~

No.33「好きな勉強・必要な勉強」~2~

 

 

【提言3】 「新しいこと・もの、流行」に振り回されるな

No.20「古いもの・ことに寄せる心」

No.79「わか竹の伸びゆくごとく」

No.98「振り返れば未来」~1~

No.99「振り返れば未来」~2~

 

 

【提言4】  見えないところを磨け、見よ

No.14「見えないところを磨く」

No.66「校名表札に込められた想い」

No.67「察する心の育ち」

No.68「察する心と学校給食」

No.75「自分に胸張って」

No.76「子どもの内面性の重視を」

No.92「今日のことば」~2~

 

 

【提言5】 「明日」のことを考えて今を生きよ

No.15「よりよく生きている事実を」

No.27「『明日』を考えることの意味」

No.53「一〇八〇」

No.69「今の自分と将来の自分」

No.72「酔歩理論」

 

〇 おわりに

先週、小2の孫が8歳の誕生日を迎えお祝いにお呼ばれした。背丈も伸びたが、何より、1年前はできなかったが今はできるようになったということが山ほどある。昨年暮れのピアノ発表会ではモーツアルトのピアノソナタで聴衆を魅了した。

 

ハッピーバースデー🎵 を歌い終えると、バースデーケーキ入刀だ。すると、まず自分の名前の入ったチョコレートのプレートを父親に半分にカットしてもらい、3つ下の妹にお裾分けした。羨ましそうに見ていた妹への心温まる思いやりだ。

その後、生まれた頃からの写真集に見入りながら本人は若干照れながらも満面の笑み。母親は、娘の成長の事実を実感しながらも、控え目に「たくさんの人に愛されて育ったことを、少しでも感じ取ってくれれば。」と期待を重ねた。こういう「振り返り」がどれだけ「明日」への意欲を膨らませてくれることか。

 

さて、「振り返れば未来」の結びに、家族の直近の一事例を紹介させていただいたところで、そろそろ私の「学びの応援」歌を歌い終えることにしよう。

ご愛読、そしてご声援をいただきましたことに重ねて感謝し、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。