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Vol.99「振り返れば未来」~2~
【 コラム 】 2025.01.09
学びの応援コラム
楜 澤 晴 樹
令和7年1月8日
NO.99 「振り返れば未来」~2~ |
まずは、新年あけましておめでとうございます。年賀状の画像を添付してご挨拶申し上げます。
さて、常体表現に戻し、前号でお伝えした通り「振り返れば未来」第2弾に入る。
〇 学且思而創己(学び且つ思いて己を創る)
これは、孔子の教えをもとに私が創作した言葉である。意味は後ほど述べさせていただく。校長だったある時、これを書の作品にしようと思い、私が高校時代から書道の師としてご指導いただいている池田龍仙先生(平成30年逝去)の庵を訪ねた。先生はまず、持参した書の出来栄えではなく、この言葉をひねり出したことを高く評価してくださった。そして、この言葉は、教育の目指すところを端的に表しており、孔子も喜ぶんじゃないかなとユーモアを交えてお話くださった。教育長時代に市の高齢者大学の講義で披露したこともある言葉だ。
さて、既にお気付きかもしれないが、まず原典とした論語を次に示す。(訳はWeb漢文大系等を参考に筆者が付した)
【学而不思則罔】 「学びて思わざれば則ち罔(くら)し」
(教えを受けるだけで、自分自身でよく考えて咀嚼しなければ真の理解に至らない)
【思而不学則殆】 「思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」
(自分で考えるだけで、他から教えを得ようとしなければ独断に陥って危険である)
つまり、「学」と「思」の両方とも欠いてはならないというわけで、私の創作が生まれることになる。
〇 学校教育が目指すところに
学校教育の目指すところを論ずる際、頻繁に行き来したいのが以前にも紹介したことがある学習指導要領である。同要領は、学校教育法や同法施行規則の規定を基に学校教育で各教科等において指導する内容等を定めているもので、およそ10年毎に改訂されている。現行のそれは、小中学校では平成29年に告示されたものである。
その総則第1には、児童生徒に生きる力を育むために実現を図ることとして、①基礎的・基本的な知識及び技能の確実な習得 ②それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の育成 ③主体的に学習に取り組む態度の涵養という3点が筆頭に掲げられている。
このうち、①は孔子の言う「学」に、②は「思」にそれぞれ相応している。③は、①、②にいつもセットで考えるべき問題である。
以上概観すると、人格の完成を目指して営まれるところの教育において、「学」と「思」はいかに時代が変化しようとも大事にしたい不易なるそれぞれなのである。まさに「振り返れば未来」である。孔子没後2500年余の時を経ているが、その説くところは、今につながり、そして未来につながるものと確信する。
私は、校長時代、職員向けの便りに「学且思而創己」と名前を付け、折々校長の願いや雑感を発信してきた。